チェンバロハウス通信

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2008年 10月 05日

鍵盤楽器の演奏法

コンサート本番まで気楽に書いていこうと思いながら、なかなか難しい。あっという間に一週間たってしまった。CDの紹介や歴史の話を書こうと思っていたのだが、時間に少し余裕があると根本的な問題にとりくみたくなる。

私の鍵盤楽器奏法の立脚点は3つある。

第1は身体技法だ。スポーツに、体の仕組みについての知識と合理的な練習法が効率的であるように、鍵盤楽器の演奏にも身体技法が大いに役立つ。音楽は、演劇やダンスのように動きの藝術である。身体感覚が身につくと、楽譜も動きの軌跡として見えてくる。そこまでいかなくとも、体に無理を強いないことは楽だ。

第2の立脚点は、言葉と音楽の関係についての知識である。何といっても西洋音楽の主流は声楽だ。とりわけ、バロック音楽は声楽がメインで器楽はデザートのようなものだと思う。そうなると、独力で歌詞を読み込むことは難しくても、対訳をみながら何を言っているか分かる程度には語学ができないとおもしろくない。
西洋には数理的ともいえる詩法の伝統がある。西洋音楽のフレージングはもともと詩法に基づいている。要求が高いかもしれないが、ラテン語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、英語などの韻律法を知らないで演奏するというのは(声楽であれ器楽であれ)、知らない言語で演じている役者のようなものだと思う。

第3は哲学である。西洋の精神史に学べることは多い。身体的な技術に優れても、西洋音楽の修辞法を身につけていても、西洋の人々が長い歴史のなかで希求してきた思いに心が閉ざされているのでは悲しい。

西洋の精神史を知るためには、いわゆる「哲学」はまわりくどい。西洋には哲学的な詩や宗教的な詩が多いので、詩を入り口にしてはどうだろうか。韻律法の勉強もできて一石二鳥だ。
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by detousbiens | 2008-10-05 13:20 | 日本人と西洋音楽