チェンバロハウス通信

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2007年 08月 09日

シュトックハウゼン講習会に参加して(その1)

 ドイツのケルン郊外、キュルテンで行われたシュトックハウゼン講習会2007に行ってきた(7月7日から15日まで)。講習の内容や演奏された曲目などについては、7月14日(土曜日)の受講者コンサートで「シュピラール」の名演を披露されたバリトン歌手の松平敬さんがブログKLANG Weblog に書かれているので、このブログでは、個人的な感想を中心に書いていきたい。
 (ちなみに、当日朝のリハーサルでは短波ラジオの不調をおっしゃっていたけれど、松平さんの本番はすばらしいもので、講習会の最終日、誰が賞金を獲得するかで私の周辺がもりあがっていたときも、話題になっていた。私が今回この講習会に参加できたのも、松平さんの紹介記事のおかげである。たいへん感謝している。)
 講習会は、10:00~13:00すぎ コンサートのリハーサル(見学自由)、12:15~13:45 オーストラリア在住の音楽学者リチャード・トゥープ Richard Toop によるアナリーゼの講義、14:30~16:30 演奏家のためのマスタークラス、17:00~18:45 シュトックハウゼン本人の作曲講義、20:00~22:00 コンサート、という時間割である。朝から晩までシュトックハウゼンの音楽三昧である。参加者仲間で「巡礼」、「洗脳プログラム」などと呼んでいた。
 講習会のメインイヴェントは、やはりコンサートとシュトックハウゼン本人の講義である。コンサートで水準の高い演奏をたくさん見聞きできるのは言うまでもなくすばらしかったが、講義もたいへん貴重な体験であった。シュトックハウゼンは普遍性ということに価値をおく人だから、「ここで話していることは、私の個人的な作曲法ではなく、普遍的な作曲法である」とおっしゃっていたが、普遍も個人に宿ってはじめて具体化するものなので、シュトックハウゼン個人の語り口に触れることは、たいへん意義のあることだった。(写真はコンサートと講義の会場となった体育館)
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 今回の講習会は、演奏家としては登録せず、「聴講生」組の一員だった。おかげで、演奏家として登録されていた方々よりずっと余裕をもって体験できたと思う。参加者(32カ国から140人ほどが参加)のなかでも、同じ立場の者同士のグループができやすく、私の場合は同じホテルに泊まっていたイギリス人の建築家マシュー・エメットとエストニア人の作曲家アンドルース・カラストゥーとすっかり意気投合して、このトリオを核に多くの国の多くの人たちと交流することができた。作曲家、音楽学者のみならず、ジャズプレイヤー、精神分析医などさまざまな職業の人たちと、シュトックハウゼンの音楽について語り合い、その他、さまざまな芸術、学問、宗教、身体技法から日常の悩み事、混迷する政治情勢にいたるまで話に花を咲かせた。当たり前と言えば当たり前だが、何人かということより、何が好きかとか、どういう立場にあるかということの方が、話がはずむための条件で、同じように芸術を愛好し、また年齢も近いとなると、講習会という隔離された環境では、まるで学生時代に戻ったように話がつきない。彼らと話した事柄も講習会の内容と同じく貴重な体験となった。(写真は会場となった地元の学校)
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by detousbiens | 2007-08-09 15:09 | シュトックハウゼン


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