2015年 10月 15日
大日本帝国憲法下の日本の国策は、世界に、とりわけ東アジア地域に大きな災厄をもたらした。その記録を大事に保管し後世に引き継ぐことは、日本人も含めた人類の福祉に資するものであり、今回のユネスコ記憶遺産登録は良いニュースだと思う。 ところがこれに憤激する人がいるようだ。日本政府にいたっては首相が遺憾の意を表明したり、官房長官がユネスコ分担金の停止に言及しているようだ。外務省の「歴史問題Q&A」では、「日本政府としては、日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。」とあり、被害の規模については諸説あるとしながら、「先の大戦における行いに対する、痛切な反省と共に、心からのお詫びの気持ちは、戦後の歴代内閣が、一貫して持ち続けてきたものです。・・・(こうした)気持ちを、揺るぎないものとして、引き継いでいきます。」と書かれているが、これでは「痛切な反省」も「心からのお詫びの気持ち」もとても感じられない。 また同じく外務省の「歴史問題Q&A」では、「日本は戦争で被害を受けたアジア諸国に対して公式に謝罪していないのではありませんか。」という問いに対して、「他方、戦争とは何ら関わりのない、将来の世代が、謝罪を続けねばならないような状況を作ってはなりません。これは、今を生きる、現在の世代の責任であると考えています。」とあるが、これはおかしい。祖先の残した負債を捨てるというのなら、祖先が築いた財産も捨てなければならないはずだ。財産だけ引き継いで負債を放棄するような相続ができるわけない。 *題名について、ユネスコ記憶遺産に登録されたのはNanjing massacre なので「南京大虐殺」とするべきだが、日本国内での通称「南京事件」を併記した。
by detousbiens
| 2015-10-15 23:11
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